心臓と腎臓は相互に密接な関係があるため、近年心腎連関という言葉が循環器科医・腎臓内科医の間で広く使われるようになりました。
昨日お話しした腎性貧血ひとつとってみても、貧血になると全身に酸素を行き渡らせるために心臓が一生懸命働いて、心拍数の増加、そして血圧の上昇等心臓に影響が及び、冠動脈疾患、心不全に至っていくのです。
さて、生命の進化から考えてみましょう。私たち人類も海から上陸しました。そして、二本足で立つ、重力に抗って血液を脳まで供給するために、心臓には強力なポンプ作用が求められた。
また海の塩水を摂れない、すなわちわずかしか摂取できないナトリウムをなるべく体内に溜め込むように、腎臓ではナトリウムを再吸収する仕組みが高度に発達する必要があったのです。
だから今の現代社会、ストレス・肥満・運動不足等 血圧を上げる生活習慣、そして塩分の摂りすぎ等で心臓・腎臓がすぐにパンクしてしまうのは自明の理なのです。
心機能の低下している例、腎臓に送り込む血流が低下して腎不全になる。腎機能が低下している例、体液が溜まって心臓がアップアップしている。これが心腎連関です。
でもこれらの心腎の障害は共通した原因があり、同時に進行していることも多い。すなわち、糖・脂質・代謝異常で全身に巡らされている血管の内壁を覆っている血管内皮細胞が障害される等です。血管内皮細胞は、血管作動性物質を放出しており、血管壁の硬さ・柔らかさ、血管透過性、血管壁への炎症細胞の接着の調節等を行っています。
Vascular endothelial injury could cause concomitant organ failures systemically.
先日報告させて頂いた、黒プラチナで著効を呈した心腎不全の方、心・腎に対しての治療薬で改善せず、肺気腫の改善でお元気になっておられます。まさに心腎肺連関なのです。
私たち循環器科医にとって、心不全の治療で1番気になるのが尿量です。ウロガード(尿をためる袋)に全くたまらない尿、そこにしずくほどの反応が…。あっ!もしかしたら…。よくなって頂けるかな?