先日述べました。円安が進行しているとその後も事態の改善は望めないどころか、どうにも止まらないっていう感じ。今年に入って20円以上も下落している。異常なスピードです。日銀・金融庁・財務省が臨時会合を開き、急速な円安を憂慮している。“必要な場合には適切な対応をとる”と声明を出したが、効果なしです。アメリカでは5月の米消費者物価指数は前年同月比8.6%とインフレの抑制が効かず、積極的な利上げの方向です。
日銀は、利上げは日本経済に壊滅的なダメージを与えることから金融緩和政策を続けることしかなく、欧米諸国と全く反対方向を向いています。
日刊ゲンダイは書いています。円安はイコール日本円がたたき売られているということ。高金利に向かうドルが買われ、低金利を維持する円が売られるのは自明の利で、この動きは止まりそうもないと。市場では1ドル140円150円の声も上がっている。
“伝説のディーラー”と呼ばれた経済評論家の藤巻健史氏は、“いずれ1ドル400~500円”と警告を発している。そして通貨の相対的な実力を測る“実質実効為替レート”で円は50年前までの水準に下がっている。だから海外からみたら日本は大安売り、一流企業も、一等地も格安で手に入る。トヨタ・ホンダといった企業さえ買収のターゲットになりかねない。
日本の優良企業が買収されるとなると、次々と高い技術や優秀な人材まで流出することになるのです。
岸田内閣の支持率は以前高い。しかし政府の物価高騰対策を評価しないという人が64.1%となっています。岸田首相は日本の物価高はまだ低水準と釈明していますが、各国は賃金も上昇している。賃金が上がらない日本とは事情がちがうのです。地獄のような円安は当然輸入物価を押し上げ、庶民生活はもたなくなるおそれが出てきています。
さて、共同通信の世論調査では参議院の投票の際に、物価高を考慮するかについては“考慮する”が71.1%でした。もしかしたら大方の選挙予報を裏切る結果が起こるかもしれません。
さて近頃の急速な円安についてこんな指摘も。
キャスターの辛坊治郎氏は“岸田政権に過去数十年続いたバラマキ政策のツケが全部まわってきている。ガソリン物価抑制の補助金で、日本だけガソリン価格がそんなに上がっていないが、他の国はどんどん上がっていて、”節約しないといけない“”代わりのエネルギーがいる“”イノベーションが必要だ“と次に何をすればいいか必死に考えている。これが積もりに積もると世界ではエネルギー革命が起き、日本は何も変わらないと言われています。
行き着くところは、円の価値が急速に落ちて、私達の預貯金が紙くずになってしまう。かつてのマルコポーロの東方見聞録で紹介された“黄金のジパング”はどこに行ってしまうのでしょうか?
Yen’s continuing slide sets off alarm bells in government, BOJ
(The Japan News)
美川憲一さんの歌に「お金をちょうだい」があります。でも、そのお金の価値がなくなってしまったら。もう我慢さえすれば生きていけるわけではなくなってしまうのです。