小半(こなから)という言葉があります。半分の半分、すなわち4分の1のことです。

最近ビールより日本酒を好んで飲むようになりました。ちょっと飲み過ぎ?と思い、今年はせいぜい小半までにしておこう(すなわち2合半)なんて思っていましたが、正月に滞在した新潟県ではそうはいきません。

新潟県には89の酒蔵があり、どれもこれも味は抜群。美味しい水に美味しい米、そして各酒蔵は競い合って醸造している、だから案の定越後湯沢では昼間から飲んでいました。

年末にNHKで小椋佳さんの特別番組があり、その中で自分の好きな言葉として紹介されていたのが小半でした。年齢を重ねるうちに、そして77歳になって引退を決意され、ラストコンサートツアーが進行中の小椋さん。あまたある欲望のうち、4分の1だけ満足できれば十分じゃないかと思うようになってきたそうです。

昨年12月には文藝春秋のインタビューで言われています。「朝起きて、今日も生きなきゃいけないんだなと思うのがしんどいです。77歳になると生きること自体がしんどいです。お釈迦様は人生には生老病死の4つの苦しみがあると言いましたが、若い頃には“生”が入っているのが不思議でしょうがなかったんです。生きることが苦だなんてどうしてだろうと。」

だから今回のラストコンサートは命がけだそうです。70歳の時は家族が葬式を出すのが大変だろうと生前葬コンサートをされています。ところが翌年には一周忌コンサートをしたと。なかなかユーモアがおありです。

生前葬コンサートの録画を拝見しました。その中で歌われていた“顧みれば”という曲、誰もが教科書のない一度限りの人生を歩まなければならない、本当に人生って苦に満ちている。自分の今までの人生を重ねてみて、同感するところばかりでした。

 

To plan our living funeral might provide a good opportunity, in which we could be mindful of our own life and death.