アメリカ合衆国の東部にメリーランド州という州があり、ボルティモアという市があります。メジャーリーグのボルチモア・オリオールズというチームが本拠地としています。ここに住む主婦メアリー・フライが、母を亡くして落ち込んでいた友人マーガレットのためにしたためたとされる詩があります。冒頭は“Do not stand at my grave and weep”で始まります。
この詩を翻訳し、曲をつけ、自らも歌った新井満さんが亡くなったとのことです。新井さんは、著作家・作詞作曲家・歌手・写真家・環境映像プロデューサー・絵本画家と多方面で活躍されました。ご冥福をお祈りします。
さてこの歌は、テノール歌手秋川雅史さんがカバーして大ヒットした、日本語タイトルはご存知「千の風になって」です。“I am a thousand winds that blow”秋川さんが抜群の歌唱力で朗々と歌い上げる情緒に満ちた歌です。
この歌は人の死を悲しむ多くの歌と視点が全く違っています。すなわち、死者が生者を想い、慰めてくれるのです。風に、光に、雪に、鳥に、星に、死者が私たちを取り巻く様々なものや生物になって生者を見守る、いつもそばにいるからもう悲しまないで、と。