重症の睡眠時無呼吸症候群の80代の男性、認知症が進み、奥様と一緒に外来受診されました。睡眠時無呼吸症候群の治療には持続陽圧換気(CPAP)といわれるマスク装着が一般的です。

CPAPをつけないとどうなるか?場合によっては血中酸素飽和度が低下し、身体に悪影響を与えることがあります。奥様が言われます。「主人がどうしてもCPAPは嫌だと言ってきかないのです。しつこく言うと怒りだし、手がつけられないのです。」私が言います。「それなら認知症外来に行って下さい。CPAPも中止にしないと仕方がないですね。」「認知症外来に行きましたけど、安定剤を処方されただけです。CPAP止めても大丈夫ですか?」散々困ったあげく、私は「やっぱり認知症外来で相談して頂けますか?」と。帰り際に奥様が言われました。「先生だけが頼りだったのに。」と。そのお言葉は、私の心にずしっとのしかかりました。

さて、書店で偶然に見かけた本、「一日一話、読めば心が熱くなる365人の生き方の教科書」の中に丹羽耕三(靱負)先生のお話が載っていました。

 

 

「真の医療と真の治療」というタイトルです。丹羽先生は当院でもお勧めしている強力な抗酸化作用を持つSOD様食品を開発された著名な先生です。先生の息子さんは白血球の病気で若くして亡くなられました。息子さんが亡くなられる2~3年前、ある有名な大学教授の奥さんが胃癌になって丹羽先生の病院に行かれました。丹羽先生はご主人に「奥さんは胃の出口が完全に癌細胞で閉鎖されてしまいました。もう何を食べても吐いてしまいます。あと4.5日の命でしょう。」と言われました。でも、ご主人は丹羽先生になんとかなりませんかとすがりつく、3時間ごとに。丹羽先生は病院の中を逃げ回りながら「有名な大学の先生が、何と物わかりの悪いことか」と心の中で蔑んでいたといいます。

そして息子さんが亡くなる3ヶ月前に、丹羽先生は嫌がる息子さんにおかゆ一口、オレンジ八分の一を食べさせてやろうと必死だったとのことです。

丹羽先生は言っておられます。主治医や婦長は思っていたに違いない、国際リウマチ学会の招待講演まで受けている著名な臨床医がなんという有様だろうか、と。その時丹羽先生はあの大学の先生を思い出した。「ああ先生に悪いことをした」と自分の行為を恥じ、懺悔の心でいっぱいになったといいます。

丹羽先生は言われます。死ぬ間際の患者さん、家族にとって神仏はありません。医師こそが神様なのです。自分一人だけに優しくしてくれるかけがえのない神様のような存在なんです。ところが、医者の立場からすれば、全体の何百分の一、何千分の一として扱ってしまいがちになるんですね。特に何もしてあげられない末期癌の患者さんには、優しい治療をしてあげることが一番大事なんです。そしてこれが真の治療に繋がるんです。40年以上医師をさせて頂いている私にとっても重い重いお言葉です。

丹羽先生の開発されたSOD様食品、皮膚がきれいになった、アレルギーがなくなった、便秘が解消された、なかには肺癌が消えた等 喜びの声が続々と届きます。

今や私にとってはSODとは神様のような丹羽先生の思いが凝縮された皆様への贈りものなのです。医学的に何もさせて頂くことのできない難治の病を持たれる方は、藁をも掴む思いで私たちの所に来て下さっているのですね。

Patients, particularly with intractable diseases, would regard us doctors as gods, although we could never be.
We have to keep firmly in our minds that they visit us as a last resort.