岸田首相は5月9日“ロシア産石油の原則禁輸”を発表。ロシアによるウクライナ侵攻の影響はあまりにも大きい。さらに今後、石油だけでなく、ロシア産の天然ガスや石炭の禁輸に踏み切る可能性もあるという。そうなると家計にも、そして日常生活にも大きな影響が出るのです。今年の夏は猛暑との予報もあります。国内は電力不足に陥り、なんと計画停電の実施の懸念も出てきているのです。

再び文藝春秋です。87歳の脚本家 倉本聰氏のお話です。

“老人よ、電気を消して貧幸に戻ろう!”

まず冒頭です。目前に迫った環境危機に対し、日本の危機意識はどうかしている。世界各国が目を覚まし始めたのに、この極東の、何の資源もない島国だけが他人事のように平和ぼけして豊饒の中でのんびり眠っている。我々の乗っている地球の危機がすぐ目前に迫っているというのに、今日の経済・明日の景気ばかり考えて、目の見えなくなっているこの国の大人は、一向眠りから覚める気配がない。果たしてこんなことで良いのだろうか、と。

私たち老人(私も含めて)は、高度経済成長に浮かれて、地球を痛め続けてきたのです。倉本さんはさらに続けます。

古いアメリカの先住民の言葉に“地球は子孫から借りている物” 我々老人はその大切な借り物を汚し、傷つけ、めちゃくちゃにしてしまった。それをそのまま子孫に渡すことは大いなる恥だと考えなければいけない。

そして倉本さんは灯火管制についても述べておられます。太平洋戦争の頃の夜の日本の姿についてです。

あの時代の日本列島には、空襲に飛来するB29から見えないように家の灯りを最小限に抑えるように、どうしても必要な茶の間の灯りには黒い布きれをかぶせて覆い、光を外へもらしてはならぬという、お上からの厳しいお達しがあった。倉本さんはその仄かな光の中で一家慎ましく身を寄せ合って、飯を食ったり、歌を歌ったり、それはそれで結構幸せを感じていたといいます。

宇宙衛星から日本列島の夜景を撮った写真です。

下から東京・名古屋・大阪と、そして青く光っているのが大気圏です。地球の大気の層がうっすらと青く映し出されています。こんなに光が必要でしょうか?

倉本さんは貧しいが倖せ、貧幸を説いておられます。“貧幸に戻ろうと!”

We would be happy,even in darkness and poverty, when we were wrapped in kindness.

富良野塾創設の起草文に40年前、こう書かれておられます。

あなたは文明に麻痺していませんか
石油と水はどっちが大事ですか
車と足はどっちが大事ですか
知識と智恵はどっちが大事ですか
批評と創造はどっちが大事ですか
理屈と行動はどっちが大事ですか
あなたは感動を忘れていませんか
あなたは結局何のかのと云いながら
わが春を謳歌していませんか

同じ意見の人、この指止まれ!

私もこの指に止まります。まさに今回のお話が凝縮されている文章です。
いくら暗い夜でも朝が来て、カーテンを開いて、静かな木漏れ陽のやさしさに包まれたなら。皆さん幸せを感じましょうね。