この4月、西国三十三所の宇治三室戸寺を訪れた際、宇治の象徴とも言える平等院鳳凰堂にも立ち寄りました。

藤原道長の別荘としても知られています。当時の平安時代 藤原氏の栄華を表す歌が百人一首にもあります。

“この世をば わが世とぞ思ふ望月の 欠けたることもなしと思へば”

訳:この世は私のためにあるように思う。今宵の満月のように私に欠ける部分は何一つないと思うので

望月とは満月のこと。自分の望みに欠けたことがないということと重ねて表したものです。当時の栄華をうかがい知れる豪勢な寺院でした。そしてその周辺には多くの宇治茶を売る店がありました。

緑茶の歴史を遡ります。宇治で最初にお茶の栽培が始まったのは鎌倉時代です。栄西禅師が留学先の中国からお茶の種子を持ち帰り、その後京都の周辺で茶園が開かれるようになりました。中でも宇治周辺は地形や寒暖差などがお茶の栽培に適したことから、お茶の栽培が拡大されていくきっかけとなりました。そして“お茶は宇治”といわれるほど宇治茶としてのブランドが確立され、将軍家や皇族などの茶会でも宇治茶が使われるようになり、宇治茶は高級品として知られるようになりました。

さて緑茶、日本人 あまり飲まなくなっていませんか?その健康効果がすごいんです。
まずカテキン、ポリフェノールの一種で抗酸化作用があります。ビタミン・ミネラル・食物繊維などの栄養素を含んでいます。カリウムも多いので血圧コントロールにもいいのです。
そして紅茶やウーロン茶にはない特有の成分テアニンが様々な効能を持つことがわかってきています。まず、脳や神経細胞の興奮を抑えて、睡眠を改善する作用があります。また、脳内で作用して意欲を改善する効果があることも多くの研究で示されています。だから皆さん、ウーロン茶・紅茶もいい、でも緑茶をもう一度見直しましょう。

さて5月に入って、夏日のところが多くなっています。この頃、日本の四季感が薄れていく。立春を起算として88日目、5月初めです。この頃から霜が降りなくなるので、稲の種まきや茶摘みのシーズンになるのです。八十八夜に摘んだ新茶を飲むと病気にならないという言い伝えもあるのです。前述のテアニンも他の時期のお茶に比べて豊富に含まれています。

Uji is famous for supreme green tea. Green tea has health efficacy, containing various vitamins, minerals, plant fibers, and so on.
Among them, theanine is proven to be effective for sedating brain cell excitement and increasing motivation.

 

「茶摘」

夏も近づく 八十八夜(はちじゅうはちや)
野にも山にも 若葉が茂(しげ)る
あれに見えるは 茶摘(ちゃつみ)じゃないか
あかねだすきに 菅(すげ)の笠(かさ)