ソ連が崩壊し米ソの冷戦が終結したのが1989年のことです。地中海のマルタで、アメリカ大統領ブッシュとソビエトのゴルバチョフによる首脳会談で宣言されました。

冷戦とは第二次世界大戦後の世界を二分した西側諸国(アメリカ合衆国を盟主とする資本主義・自由主義陣営)と東側諸国(ソビエト連邦を盟主とする共産主義・社会主義陣営)との対立構造、冷戦とは読んで字の如く“戦火を交えない戦争”、つまり米ソが武力で直接衝突はしないという意味ですが、冷戦下では朝鮮戦争・ベトナム戦争・ソ連アフガニスタン戦争のように両国が介入する戦争が多数勃発しました。

冷戦の終結は自由民主主義の勝利、すなわち歴史の終わり(社会形態発展の終焉)だと、そしてこれからは自由民主主義が持続可能だと高らかに宣言したのが米の国際政治学者フランシス・フクヤマ氏でした。しかしその後も世界から戦争や紛争が絶えたことはなく、そして33年後の今年、大国ロシアによるウクライナ侵攻という歴史的事件によって歴史の終わりの真の到来はまだ遠いという厳しい現実を世界は思い知らされることになったのです。

以下English Express、CNNのフランシス・フクヤマ氏へのインタビューからです。

今世界は岐路に立っており、全く異なる2つの方向のいずれかに進みうる。すなわち、武力により力ずくで国境線が引き直されるのか、それとも民主主義国家が抵抗し民主主義精神を再活性化させるかです。

民主主義がこのまま続くと考えられたベルリンの壁崩壊以後、人間の営みが歴史を変えてしまった。この30年の間、民主主義の下に生きて来た人々が現状に甘んじるようになってしまった。人々は自分たちが享受している平和や繁栄は常にあって当然のもので、そのための努力をしなくてもいいと考えるようになってしまったのです。だからある意味でプーチン氏は今、私たちに教訓を与えているといえるのです。世界はずっとこのまま平和でありつづけ、民主主義はあって当然のものだなどと考えてはならないということを。

さてこの戦争にプーチン氏が勝ったとしましょう。ラテンアメリカ、アジアの一部、中東にはプーチン氏を支持する人がたくさんいる。この地域の人がそれに倣おうとするでしょう、と。だからこれはまさに世界規模の1つの戦いなのです。

And I think what’s happened in the 30 years since the fall of the Berlin Wall is that people living in democracies have gotten complacent. They assumed that the peace and prosperity that they were enjoying would somehow always be there and they didn’t have to work very hard for it.
(CNN English Express)

ならば、日本の近海にはならずものが多く虎視眈々と日本を狙っている。日本の最北端襟裳岬は日髙山脈襟裳国定公園に指定され、美しい自然の残るところです。今年も、来年も、何もない春ですというのを祈っています。