ロシアでは5月9日、第二次世界大戦で旧ソビエトがナチス・ドイツに勝利した戦勝記念日を迎えました。軍事パレードに先立ち、プーチン大統領が演説を行いました。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻について“去年12月、我々は安全保障に関する様々な提案を行ったが全て無駄だった。ドンバスでの作戦が行われ、キエフでは核兵器使用(NATO側の)の可能性も口にされた。ロシアにとって受け入れられない脅威が国境付近にある。”と述べ、軍事侵攻を正当化しました。

あれ?核兵器の使用の可能性を示唆したのはプーチンさんじゃなかったの?プーチン大統領は続けます。“アメリカとその仲間が肩入れしたネオナチとの衝突は避けられないことをあらゆることが示唆していた。軍事インフラが配備され、何百人もの外国人顧問が働き始め、NATO諸国から最新鋭の兵器が定期的に届けられる様子を目の当たりにしていた。危険は日に日に増していた。”この演説に対して多くのことをNATO側は否定していますが、一部本当のことが含まれるかもしれません。

現在、予想外に苦戦を強いられているロシア軍、その一因はNATO側から次々に供給される最新鋭の兵器なのです。プーチン氏はその兵器を恐れていた?ここにきて大国ロシアの意外なほどの弱さが露呈しています。

米政府はロシアのウクライナへの精密誘導ミサイルについて一部ミサイルの失敗率が最大で60%にも上ると分析しています。となると、ロシアの敗北は近い?いや、まだまだ油断できません。ロシアの化学兵器・核兵器の所有数は世界有数です。

さて、プーチン氏は演説の中で第二次世界大戦での旧ソ連赤軍のナチス・ドイツとの戦いの勝利を、今回のウクライナへの侵攻と同列に並べています。これに対しては多くの国々から歴史の曲解であると批判の声が上がっています。

Speaking at a military parade on Red Square marking the World War II victory over the Nazis, Putin drew parallels between the Red Army’s fighting against the Nazi troops and the Russian forces’ action in Ukraine.
(The Japan News)

プーチン氏は全然歴史を学んでいない?あの悲惨な第二次世界大戦から何の教訓も得ていないのでしょうか。まるで戦争は知らないというように。

稀代の詩人にして劇作家、昭和が生んだ元祖マルチ・アーティストの寺山修司さんが作詞した楽曲に「戦争は知らない」があります。幼い頃に父を戦争で亡くしている。歌詞の“私”は女性だが、当然ながら作者の寺山さん自身が投影されています。青森県警弘前署の刑事だった父の寺山八郎は召集されて出征した後、太平洋のセレベス島でアメーバ赤痢に罹って戦病死した。母と子だけが残された。名前も知らない野に咲く花には生命を奪われた戦死者たちの無念と、父を奪われた子供の悲しみが託されている。