昔、中国の楚の国で矛(ほこ)と盾(たて)とを売っていた者が“この矛はどんなかたい盾をも突き通すことができ、この盾はどんな矛でも突き通すことができない”と誇ったが、“それではお前の矛でお前の盾を突けばどうなるか”と尋ねられて、答えることが出来なかったという。2つの物事が食い違っていて、辻褄が合わないことを矛盾といいます。今、世界中がこの矛盾の中にあります。感染を抑え込むこと、社会活動を維持することを同時に行っていかなければならないからです。

そして特に我が国は、感染の爆発的拡大の中、もがき苦しんでいるのです。以前、死の病として恐れられた結核に特効薬ができ、感染症の脅威が薄れてきた中、公衆衛生の中核的役割を担う保健所が、保健所法が1994年制定の地域保健法に変わったことにより、1992年全国に852カ所あったものが2020年現在、469カ所に減らされました。

そして今、1日8万人以上の新規感染者数、それに濃厚接触者数を加えると1日何十万の人数になるのでしょう。

保健所の業務は相も変わらず、医師の指示下で、病状確認・PCR検査の対象か否かの確認・PCR検査を必要とする人の検査日時や場所の確認と連絡・PCR検査の結果説明・陽性と判定された場合は感染経路を調べ、入院や施設、自宅療養の振り分け・濃厚接触者の確認と必要時はPCR検査の勧奨・自宅療養の場合は1日2回病状確認の電話等超多忙で、もうすでにパンクしています。

今、オミクロン株はデルタ株と比べ、重症化率が低く、すでに別の病とも言われている中、いつまで今までの2類感染症扱いとしておくのか、政府の早急なる決断が強く望まれるのです。濃厚接触者の待機期間を7日間に短縮するという付け焼き刃的な政策、蔓延防止等重点措置をくり返しているだけでは、もう国がもたない。この2年間国は何をしてきたのでしょう。

Japan is considering cutting the isolation period for close contacts of anyone who has tested positive for COVID-19 to seven days amid concerns that societal and business activities will be hampered if more people need to be absent from work.
(The Japan Times)

過ちは誰にでもある、でも何度もくり返すのではなく、そろそろ大人になりましょう。