現代の男子テニス界の王者として君臨し続けるノバク・ジョコビッチ氏、去る6月には全仏オープンで優勝、4大大会全てで2度以上優勝するダブルグランドスラムの偉業も達成されました。そして世界ランク1位の通算在位期間の更新も。今回のCNNのインタビューに応じておられます。“新記録達成は誇らしく、15年以上のプロテニス選手としてのキャリアで手にした全ての成果の頂点です”
決して恵まれてはいない生い立ち、そして最近では2020年の全米オープンで苛立って打ったボールが線審を直撃、大会規定で失格処分となったり、そしてケガも克服等様々なことがあったようです。そして語られています。“人生を長い学習曲線とみています。何年もかけて立ち直ることを学んだのだと思っています。世界中を回ったり、長年に渡ってトップを維持したりといった経験をして、そういうことは精神力と立ち直る力を養ってくれた。でも、1人の人間だから怖いと思うこともあれば、自信を持てないこともある。テニスは自分にとって学びの場なんです。”そして最後に幼少時の悲劇を乗り越えてここまで来た自分を顧みて“夢は叶えられる、なんだってできる。7才の僕はウインブルドンのトロフィーを模した物を作って、部屋の鏡を見ながら僕は世界一のテニスプレーヤーだと言い聞かせていました。夢は本当に叶うんです。”
さて、ここで述べた悲劇とは?ジョコビッチ氏は1987年セルビアの首都ベオグラードで生まれました。ヨーロッパ南東部バルカン半島に位置するセルビア共和国内にコソボという自治州があり、コソボの独立を目指すアルバニア系住民とそれを認めないセルビア当局の間で紛争が続いていました。そしてついには武力衝突に。最後は北大西洋条約機構(NATO)が軍事介入に踏み切ったのです。まさに7才のジョコビッチ氏はベオグラードの空爆に耐えながらラケットを振り続けていたのです。
この度、ジョコビッチ氏が東京オリンピックに参加される可能性があります。でも、無観客になったので来られないかな?いずれにせよ戦争を知っている子供ジョコビッチ氏が戦争を知らない世界中の多くの子供達に夢を、希望を与え続けてくれることを切に望んでいます。
“I see life as a great learning curve. Dream are achievable. Everything is possible.”
CNN English Express