石 弘之先生の著書「感染症の世界史」には、非常に興味深いことが書かれています。あとがきにこうあります。人間ドックで書類を渡されて、検診の前に“様々な質問の回答を記入せよ”という面倒な書類なのでいい加減に欄を埋めて提出したら、若い看護師さんから“既往歴をしっかり記入してください”とたしなめられた。仕方がないので、“マラリア4回、コレラ、デング熱、アメーバ赤痢、リーシマニア症、ダニ発疹熱各1回、原因不明の高熱と下痢数回”と記入して提出したら“忙しいんですから、ふざけないでください”とまた叱られた。
感染症の研究で各国で長く働かれていたので、様々な感染症の洗礼を受けたとのことです。これを私に当てはめると、国内外で“B型肝炎、C型肝炎、HIV針刺し事故多数”という感じでしょうか。
石先生はもともと環境が専門です。では、環境史専門の研究者がなぜ感染症の本を書いたの?先生の持論は、感染症は環境の変化から流行するというものです。例えば、西アフリカのエボラ出血熱は熱帯林の破壊が原因、マラリア・デング熱は温暖化が原因。では、今回の新型コロナウイルスは人間がこれほどの過密社会を作ったからだと言われています。
コロナウイルスは実はありふれたウイルスで、私たちが日常的にかかる風邪の10~15%はコロナウイルスによって引き起こされています。コロナウイルスの歴史は非常に長く、遺伝子の変異から先祖を探ると、共通祖先は紀元前8000年ごろに出現していたようです。以来、姿を変えてコウモリや鳥など様々な動物の体に潜り込んで、子孫を残してきました。
ウイルスの唯一の目的は、子孫を残すこと。約20万年前にアフリカで誕生した私たちの祖先は、数多くの病原体と戦いながら地球の隅々に広がっていきました。でも、ウイルスは強敵でした。
人類の歴史は20万年前からですが、微生物は40億年生き抜いてきた強者です。今でも人類の負けが続いていて、これまでほぼ1勝9敗とのことです。勝ったのは1977年以来、発病者が出ていない天然痘とほぼ絶滅寸前のポリオぐらいだそうです。
さて今回のCOVID-19、戦いはまだ続きます。そもそも、どこから来たの?中国?コウモリから人にうつったの?それを究明できなければ、また同じことが繰り返されると思います。
昭和初期の紙芝居から生まれた、金色のがいこつ姿の黄金バット。正義のヒーローでした。どこから来るのか、コロナ。コウモリだけが知っているでしょうか?

We, human being are now playing tough challenging game with various viruses, in which we do hope to declare victory.