人の一生、一時も休まず働き続ける心臓、感謝しなくてはなりません。人は、日常ずっとぼーっとしている訳にはいきません。寝たり、歩いたり、走ったり、仕事のしすぎ・介護疲れの過労、睡眠不足、酒の飲み過ぎ、食べ過ぎ等、交感神経・副交感神経は、その度にころころ優位性を変えています。交感神経は血圧を上げる、脈を早める。副交感神経はその逆です。
だから、時に心臓は暴れる。もう勝手にしやがれと。これが不整脈です。
どきどきどきの頻脈、あるいはどっくんどっくんの期外収縮、ほとんどは治療の必要がありません。治療の必要があるのは?心臓の筋肉を栄養とする冠動脈が狭い、あるいは詰まったりする狭心症、心臓梗塞が原因の不整脈、あるいは弁の逆流・狭窄による不整脈は医療を受ける必要があります。そして町中に設置してあるAEDが必要な心室細動も…。
さて、今回72歳の男性(私の友人です)から連絡がありました。心房細動で救急で大学病院に入院した。抗凝固剤を受け、検査の結果8月中旬に手術を受けることになったと。(カテーテルアブレーション)詳しく聞いてみると、心房細動で頻脈(1分間に150以上)が起こったとのことです。心房細動とは、左心房が調律を失い、ブルブル震える現象です。時に頻脈になったり、徐脈になったりします。1番怖いのは、ブルブル震えている左心房で血液の流れが滞り、血栓ができて脳に飛んでしまう、脳塞栓症が起こることなのです。
この方の場合、まずすべきは150以上の頻脈を薬物療法で元に戻すこと。次に血栓の予防を目的とした抗凝固療法なのでしょう。
でも、抗凝固療法においても適応があります。CHADS2スコアです。(脳塞栓の既往、心不全、高血圧、年齢75歳以上、糖尿病) この方の場合は一つも当てはまらない。すなわち、抗凝固療法も必要ないかもしれない。そして、アブレーションの適応についてはもっと慎重であるべきです。成功率70%、合併症の発生率もある程度あるのです。
ただ大学病院では、まずアブレーションありきで話が進んでいる。だから友人は“えー。そんなに重症なの?”とかなりびびっておられました。気まぐれな心臓とどう付き合っていくか?今では心房細動は、循環器病の中ではありふれた病気common diseaseと言われるようになっています。

Capricious hearts cause various kinds of arrhythmia, most of which are not entirely life-threatening.