私のいたシカゴで大寒波というのならわかります。でも、年間気温が9℃から32℃の米国南部テキサス州でマイナス5℃以下になり、そして猛吹雪の大寒波が襲いました。ピーク時には430万人強が大規模停電の影響を受け、犠牲者も出ました。これは東日本大震災の福島原発事故同様、ほぼ想定外のことでした。大震災の津波、さらに今回のコロナパンデミックは一部の専門家がその可能性を予見していました。でも、専門的知見は活用されませんでした。
マイクロソフト社の創業者であり、現在は慈善活動に注力している知の巨人、ビルゲイツ氏はその著書「How to avoid a climate disaster (気候災害を避けるには)」で気候変動がいかに深刻な問題であるかについて、人々の理解を助けるために新型コロナウイルス感染症を1つの仕組みとして挙げています。今世紀半ばまでに、新型コロナウイルスと同じくらいの死者が気候変動によって生じるだろう。そして2100年までには、気候変動による死者は新型コロナウイルスでの死者の5倍にもなるだろうと。
何か災害が起きた時、どんな対策をとればよかったのか見直すべきなのです。そして予期せぬ事態に備えるには私たちは残念ながら政府を頼るしかないのです。
コロナパンデミックと気候変動の大きな違いは、もしかしたらパンデミックは今のワクチンで抑えられるかもしれない。でも気候変動の場合、一旦問題が発生するとサンゴ礁が死滅したり、北極圏の氷が溶けてしまったり、新しいものを一つ発明するだけでは状況は好転しないのです。私たちはもっと危機感を持たなければなりません。
ゲイツ氏は言います。ワクチンのおかげで終わりが見えてきた。たとえ変異ウイルスの存在で収束に向かう速度は落ちるとしても。気候変動の場合、ワクチンの様な特効薬はない。
With climate it won’t just be one breakthrough like vaccine. If you let it start to happen, the instability will be way beyond the problems that we’ve had here with the pandemic.
Bill Gates CNN English Express