書店の店頭で一番に目についた本、それが和田秀樹先生の書かれた80歳の壁です。私も80歳まで10年ちょっとしかない。そういう意味で何が書かれているか興味を持ちました。
主旨は以下の如くです。
人生100年時代に突入しましたが、健康寿命の平均は男性72歳、女性75歳。80歳を目の前に寝たきりや要介護になる人は多い。“80歳の壁”は高く厚いが、壁を越える最強の方法がある。それは嫌なことを我慢せず、好きなことだけをすること。“食べたいものを食べる”“血圧・血糖値・コレステロール値は下げなくていい”“ガンは切らない”等です。健康診断をすると、基準値から外れた値が見つかる。それが血圧であったり、血糖であったり、コレステロールであったり。そして特に無症状の時どうするか?投薬するかしないかは各医師の裁量に委ねられているのです。
さて和田先生の疑問です。日本人の寿命が初めて50歳を超えたのは、1947年(昭和22年)でした。その頃の男女の平均寿命の差は3歳ほどでしたが、今ではそれが6歳に広がっています。なぜ女性の平均寿命は延びたのに、男性は延びなかったのでしょうか?
定期の健康診断の多くは会社で実施されており、一昔前までは健診を受ける割合は男性が圧倒的に多いという状況でした。健診が長生きに寄与するなら、男女の寿命は逆転してもよかったはずなのに、むしろ差が広がってしまった。つまり健診が意味をなしていないということなのです。そして多くの医師は“数字は見るが、患者は診ていない”、だから数値を下げることに注力し、ともすれば過剰医療となり、患者さんの健康を害してしまうということも起こりうるのでしょう。
悪玉コレステロールが高い方、動脈硬化になる率は高いでしょう。でも問題なのはそれが活性酸素で酸化された時、すなわち過酸化脂質となった時に悪さをするのです。だから私はまず頸動脈エコーをさせて頂き、動脈硬化の進行している方にだけ投薬する、そのスタンスをとっています。なぜならむやみにコレステロール値を下げれば免疫機能が低下してガンが進行したり、感染症にかかりやすくなるからです。
次にガンです。和田先生が勤務された病院は高齢者専門の病院で、毎年100人のご遺体を解剖されていたとのことです。すると本人は自覚していないにもかかわらず、体の中に大きな病巣があり、それ以外の病気で亡くなっていたという例が少なくない。つまり最後まで気づかない病気もある。ガンもその一つだと。
85歳を過ぎた方のご遺体を解剖するとほとんどの人の体にガンが見つかるとのこと。ということは多くの人がガンと共に生きたということ、それならば“ガンは死に至る病気で、早期発見・早期治療をすべき”というガン検診を見直すべきだと思うのです。和田先生も私も健康診断・ガン検診は受けないというスタンスと思います。ただもし、症状が出たら検査を受けるかもしれません。
和田先生は現在61歳、3年前にとても喉が渇いて検査をした。すると血糖値が600㎎/dlを超えていた。一般にはインスリンを投与するレベルですが、先生はインスリンだけは打たないと決めていて、様々な薬を試したけれど効果がない。だから歩くことを選んだ。結果的によくなられたのです。まさに薬は歩くことにしかずですね。だから和田先生のメッセージは私からのメッセージでもあります。今日という日をあるがままに生きていく。