私の東京の実家に一枚の色紙があります。そこには緑濃い松のスケッチに一句したためられています。“みどりこき松みる人も 人の世の平和続けといのる朝夕”作者はノーベル賞物理学者の湯川秀樹博士です。私の祖母が湯川先生の奥様、湯川スミ様と同級生で懇意にさせて頂いていたため、頂いた物なのです。湯川先生の平和への祈りは人並みはずれたものだったのでしょう。

80年前の12月8日日本海軍がハワイのオアフ島の真珠湾を奇襲攻撃し、太平洋戦争が勃発しました。その年から京大教授になった湯川先生は、戦時下に基礎科学の研究を続けてよいか迷うことが何度もあったといいます。

1943年に政府は“科学研究は戦争遂行が唯一絶対の目標”だと決定し、研究者の計画的動員を開始したのです。湯川氏は1945年8月6日に広島に投下された原子爆弾について、被害状況を現地の調査から帰った知人に敗戦2日前に聞いた。それ以来、発言・執筆の依頼を一切断って“反省と沈思の日々”を送り、10月になって週刊誌に“静かに思う”と起稿した。“国家の目的と手段が正当化されるには、それが人類全体の福祉の増進に背馳しないことが必要だ。そして個人・家族・社会・国家、この中で世界の系列の中から国家だけを取り出し、これに権威を与えたことが過ちだった”と結論しています。自分たちの研究が戦争に利用されたことに対し、忸怩たる思いをされたのだと思います。

さて、同じノーベル賞でも文学賞、歌手でもあるボブ・ディランさん、「風にふかれて」という歌があります。さすが文学でも優れている、平和を祈る思いがすごく伝わってきます。

白い鳩は平和のイメージでしょうか?
いつになったら平和になるのか?