96歳まで頭がしっかりして生涯を閉じた父親、今までの生き様をみてこれほどまで長生きできた要素は見当たりません。
会社勤務で泥酔で帰ってきた夜も少なくありませんでした。そして煙草です。胸腔内一杯に煙をくゆらせる。私達家族は強烈な受動喫煙を浴びせられたことになります。さらにはストレスです。我が家はかかあ天下で、度々母親に「なに言ってんの」と怒られていました。
そして塩分。父はあまり美食家ではなく、鰹節・とろろ昆布と米飯に醤油をたっぷりかけて食べていました。そして味噌汁も大好きでした。なんでこれで長生きできたの?
先日も申し上げましたが、私が父親の本気度を知ったのは私の中学受験前の一年間でした。過去の算数の問題をずっと一緒に解いてくれて、その時は好きな酒もかなり控えてくれていたような気がします。“パパ、なかなかやるじゃん” ここで思うこと、それは父の息子達への海よりも深い愛、そして何に対しても誰に対しても感謝するということです。
入居していた施設のスタッフの方々、父からありがとう以外の言葉を聞いたことがないと言われています。そして遠くにいる私達がたった年に1度しか訪問できなくても「ありがとう。忙しいのに遠くからよく来てくれたね。今日帰るの、気をつけてね。」です。
さて、話を戻します。最近ご高齢の方が味噌汁を飲まない、醤油を使わない等塩分にかなり気を遣われています。塩分は血圧・腎臓に悪いと。でもこの夏、意識が朦朧として入院された方に意外と多いのが低ナトリウム血症です。塩は塩化ナトリウム、極度に控えると低ナトリウム血症になるのです。
まず、醤油です。日本古来の伝統ある発酵調味料で、大豆・小麦・塩を原材料に作られています。大豆にはビタミン・ミネラルを多く含みます。そして醤油には大腸菌等を短時間で死滅させる効果があります。
そして味噌です。やはり原材料である大豆が“味噌の医者殺し”と言わせしめているのです。大豆のたんぱく質・脂質・ビタミン・ミネラルを麹の働きで発酵させることでこれらの物資の消化吸収が良くなり、栄養価がいっそう高まるのです。
もしかしたら不健康そのものの生活を送っていた父の寿命を延ばしてくれたもの、それは伝統の和食だったのかもと今思っています。
父のレガシーと言えば人に感謝すること、今回父の出身校の熊本旧制第五高等学校の寮歌をありがとうの気持ちを込めて歌い、送らせてもらいました。
Father was not a gourmet at all, however, who told me that simple traditional Japanese materials are the most health beneficial.