“がん放置療法”“患者よがんと闘うな”等 独自のがんの医療を提唱していた近藤誠先生が亡くなられました。虚血性心不全だったようです。ご冥福をお祈りいたします。
さて“がんと闘うな”について1番のインパクトのあった症例は胃癌の再発したテレビ司会者が、東京女子医大の外科教授が執刀する手術を受け、2㎏以上の臓器を摘出され、術後3ヶ月で亡くなった事例でした。1993年のことで、腹部に再発した胃癌を治すことはできないので、してはならない手術だったと近藤先生は書かれています。患者さんは急速にやせられ、苦しまれたと思います。
私が研修医だった頃、外科医はなんでも切りたがった。そして研修医の2年間、大学病院では食道癌の手術が始まりましたが、食道を全摘し、胃を胸部につり上げて代用食道にするのですが、首と胸とお腹を切り開く大手術ですから成績は惨憺たるものでした、ほとんどに肺炎を合併します。そしてICUで人工呼吸器管理の末に患者さんは亡くなっていきました。先輩の先生からは“術後1ヶ月は生かせてくれ。1ヶ月過ぎると手術死ではなくなるので。”という仰天の言葉も聞かされました。私は医師のスタートの時点で、医療はがんに勝てないとの意識を強く持ったことになります。
そして予後の悪い肺の小細胞癌の患者さん、新しいシスプラチンという薬を使うとがんがみるみる縮小した、“この薬すごいわ”と皆で喜んだのも束の間、患者さんは1ヶ月後肺炎で亡くなられました。
そして今でも。抗癌剤も分子標的治療薬が登場し、以前よりは副作用も少なくなっているようですが、それでも治療に耐えられず、断念される方が多い。
琉球温熱療法、SOD、黒プラチナ、再生医療等の代替医療をさせて頂いていて、藁をも掴もうとする方がこんなにいらっしゃるという現実を改めて認識致しました。ですから私も近藤先生のお考えには賛同できるところが多いのです。
でも少し言葉を変えて。“医師よ 患者をがんと闘わせるな!”と。誰も死にたくない、だからがんと診断されたら生存するために闘うのです。その闘いのお手伝いをするのが医師だと思うのです。
でも多くの方が医師の施した医療の後遺症・副作用にもがき闘っています。そして抗癌剤の副作用がこわくて受けるのをためらう人が多い。医師は他に選択肢がないので、抗癌剤の勝ち目が薄いと思ってもこう言います。「抗癌剤を受けますか?」そう言われても患者さん家族の方は戸惑うだけです。さらに続きます。「抗癌剤の治療を受ければ、5年生存率は○○%です。受けなければ余命○○です。」と。この説明だといきおい患者さんに辛く苦しいがんとの闘いに導くことになるのです。
そしてメンタルの面でも重要なことは?
日曜ドラマで竹内涼真が主演の「君と世界が終わる日に」というのがありました。ゾンビになってしまうウイルスが蔓延する世界が舞台になっているドラマです。その主題歌「星を仰ぐ」からは一片のかざりもない大切な人への想いがにじみ出てきます。
必要なのは難病と必死に闘うには、やはり寄り添って生きてくれる人が絶対に必要なのです。
what we doctors should not do is to afflict patients with intractable diseases bitterly, by treating them with almost hopeless chemotherapy.