コロナ以前、冬には当院にも多くの発熱の方が受診されました。殆どの方にインフルエンザの検査をする。鼻腔のぬぐい液を採取し、検査キットに入れる。そしてその色の変化を見て陽性の判定をするのです。
ずーっと私は思っていました。「こんな検査、素人でも出来るじゃん。皆さんに配って陽性の人だけ受診したらいい」でもなかなかそうはなりません。もしかしたら医師会の存在があるのかもしれません。インフルエンザの季節は、開業医にとって貴重な収入源になるからなのです。
そして今回の発熱外来の医療逼迫について、PCR、抗原検査もいってみたら素人でもできる、だから医師のいない場所で、すなわち医療機関でなくても、診断する権限を誰かに与える。看護師・臨床検査技師・救命士等にです。それによって混乱を避けることができるのです。
さて、どの職種にもスペシャリストがいる。私もまがりなりにも心臓外科のスペシャリストでした。そこに達するには、まず医学部6年間の勉強、その後研修医として2年間一般外科を研修(私は米国で2年間研修させて頂きましたが)、その後5年心臓外科医として研修、そして日本胸部外科学会で決められた手術症例数、学会発表、論文数を達成してやっと一人前の心臓外科医になれたのです。だから私の道のりには誰にも見せない泪があったのです。
他の多くの先生方も同じだと思います。苦労して専門医になり、そしてその技術をいかせることのないコロナの診断、さらには「療養証明書」まで書かされて。そしてワクチン接種は看護師でもできますが、接種センターには必ず一人医師がいなくてはならない。そのような問題を少しずつ解消して、医師数が人口1000万人あたり2.4人とOECD加盟国38カ国の平均3.5人と比べて、かなり少なめな日本の医師の負担が軽減されることを望んでいます。
Arduous efforts are required to become specialists,to whom suitable tasks should be
given.
私は以前からお話しさせて頂いていますが、私のかかりつけの方のコロナ感染には対応させて頂いていますが、申し訳ないですけど発熱外来はさせていただいていません。私がいわば命をかけて治療させていただいた方が感染のリスクにさらされることは決して起こってはならないのです。
スペシャリストになるためには人知れず流した泪があった。ゆずもそうだったと思います。