日頃の外来で一番皆様が訴えられていること、それは?
めまい・ふらつきです。私達がめまいと一言に表現する感覚は、実は詳しくみてみると様々です。目の前の景色が回るような感覚、船に乗っているような浮動感、一時的な脱力感、目の前が真っ暗になって倒れそうになる感覚等、症状が多彩ですので原因となる体の異常も様々なのです。
まず、耳鼻科を紹介させて頂くべきか?脳神経外科か?耳鼻科ですとバランスを司る内耳の三半規管の異常が考えられます。脳神経外科ですと脳幹部と呼ばれる生命維持に大きく関わる場所の異常、椎骨動脈と呼ばれる大きな血管が損傷したり、小脳に脳梗塞がおこったりした場合もめまいが起こることがあります。その場合は命に関わることがあります。ですから、“今朝めまいがあったんです。”と訴える患者さんには、症状の重さ・軽さに関わらず神経を使います。重大な病気が背景に隠れている可能性があるといわれる“めまい”、でもMRI等の検査には私は慎重です。
60歳以上の方のほとんどにラクナ梗塞といわれる病巣があります。ラクナとはラテン語で“小さなくぼみ”という意味で、脳の深い場所に発生する直径15㎜以下の小さな脳梗塞です。小さいので無症状、だから無症状性脳梗塞とも呼ばれています。ラクナ梗塞といわれて、本格的な脳梗塞にならない?認知症にならない?と心配され、鬱状態になられる方もおられるのです。私は「心配しないで下さい。今、元気で生きておられるのが全てですよ。」といつも言わせて頂いています。
そして血圧です。めまいが起こると体はしっかりしろよと自律神経が血圧を上げて反応するのです。だから、“今朝めまいがあり、血圧を測ると180ありました。”という方が多いのですが、高血圧症がめまいに関係しているのではなく、めまいの結果血圧があがっているのです。
さて、私も最近めまいがしています。でもそれは私の身体が原因ではなく、たぶん岸田首相の提唱する新資本主義が原因かもしれません。
ついに出ました。1億総株主という目標、首相はロンドンの金融街で“眠っている預貯金をたたき起こす”と約束、昨年末時点で2023兆円の日本の家計の金融資産のうち1092兆円が現金預金で、半分以上を占める。これを投資にという発想です。
経済ジャーナリストの萩原博子氏は言っておられます。“庶民生活がわかっていませんね。給料や年金が増えない中で、物価だけが上昇し、生活不安が高まっているから貯蓄が増えているのです。投資は博打、老後の安心を考えたら、そんな発想できません。株価も為替も乱高下していて、普通の人が投資する相場環境ではないですしね”
だから岸田さん、眠りにつこうとする私達の預貯金を揺り起こさないでという感じです。
Vertigo is a common symptom seen in various kinds of patients for various reasons. We must be aware that serious diseases might be hidden behind it.