今、私たちの老後が危ない。年金だけでは生きていけない。そして急速に進む少子高齢化、ということは少数の若者が多数の高齢者を支えなくてはならない。だから今の若者達はもっとかわいそうということになるのです。

先日、日本の総人口が過去最大の減少幅を記録したというニュースがありました。これに反応してツイッターに記したのが米・電気自動車企業テスラのCEOで世界一の資産家であるイーロン・マスク氏でした。

“日本はいずれ消滅するだろう”“Japan will eventually cease to exist.”

コロナ禍、そしてウクライナ情勢等の影響で狂乱物価が襲っています。こんな時に今年10月からまた皆様のご負担が増えるという。75歳以上の医療費自己負担額2割化が着々と進んでいます。現行1割負担が2割になる、すなわち負担が2割に増えるということです。そして昨年の日本高齢期運動連絡会の調査では、75歳以上の3割近くが通院回数や受診する診療科を減らすと回答するなど、深刻な受診抑制をもたらしかねない状況にまでなってきています。困った状況は医療を受けて頂く患者さんだけではありません。医療を提供する私たちも大混乱です。医療機関の事務作業にものすごく負担がかかるほどの複雑さです。

ここからは少し細かいことを言いますので、さらっと流して下さいね。言いたいことは、患者さんにも医療機関にも負担をかけながら、涼しい顔をしている役所です。現場を忙しくさせて文句を言わせる暇を与えないようにしようという。

10月から実施されようとしている75歳以上の窓口負担2割化では、開始後3年間の配慮措置が予定されています。それは負担増対象者の外来受診の負担増加額(1割負担と2割負担との差額)を1ヶ月で3000円以内に収めるというもの。3000円に収めるのは、窓口負担の上限ではなく、あくまでも2割化による負担増加額なのです。また2割化の対象となるのは、75歳以上で課税所得が28万以上かつ“年金収入+その他の合計所得金額”が200万円以上の方です。負担が1割・2割・3割の患者さんが混在する上に、上記のようなややこしい措置が講じられ、医療機関の事務作業時の手間が大きく増える、そして患者さんから誤解を招きやすい、良いこと無しですね。

ついでに言います。本年4月から始まったリフィル処方箋です。簡単に言うと、繰り返し使用できる処方箋のことです。症状が安定している患者さんについて、医師の処方により、医師・薬剤師の適切な連携の下、一定期間に処方箋を反復できるという制度です。薬を処方してもらうだけの通院が減るということになるのでしょうか?医師法20条では無診察処方を禁じている。それなのに手のひらを反するようなリフィル処方、何を考えているのか理解に苦しみます。

患者負担2割化、リフィル処方、いずれも大半の医療関係者が反対しています。みなさん大きな声をあげましょう。

Social welfare system in Japan is going to collapse, if it is going as it is.
Low birthrate and aging society could put tremendous pressures on younger generations.

3人組の日本のフォークソンググループ三輪車のデビュー曲に「水色の街」があります。なかなか軽やか名曲です。

水たまりの中ではしゃぎまわる君 いつの間にか恋人にされた僕
とても美人とは言えないが 恋は心とあきらめた

でも私たちは医療は心とあきらめるわけにはいかないのです。