今からもう何年も前、メディアで大々的に啓発されました。アルツハイム型をはじめとする認知症ははやく見つけたら進行を遅らせることができると。

ただ事は思うように進んでいないというのが、在宅・老人ホームで多くの高齢者の方をみせて頂いてきた私の印象です。それもそのはず、今使われているアルツハイマー型認知症の治療薬は神経細胞が放出する化学伝達物質を介しての作用ですので、時に興奮・不眠・徘徊等の副作用をきたすことがあるのです。

そしてアルツハイマー病は脳内にアミロイドβが凝集蓄積することで、神経細胞に傷害が加わり、その結果神経細胞内にタウ蛋白質が蓄積し、その機能障害及び細胞死が引き起こされて認知機能が低下する疾患と考えられている(ただその正確な過程には未だ不明な点が多い)。だからいずれの治療薬も根本的にアミロイドβを除去する作用がないので、治療確立にはほど遠いのです。

ここで申し訳ありませんが私の大好きなビールが再び登場します。昨日に紹介させて頂いた「酒好き医師が教える最高の飲み方」からです。

“ビールには素晴らしい効能がある”ビールはアルツハイマー病予防に効果が期待できる!というのです。私自身薬の名前がすぐに出ないなど、あっ、ついに来たかなんて思うことがあります。そんな時この話は心の支えです。

ビールの材料の一つ“ホップ”、ビールに香りと苦みをもたらす重要な要素です。キリンR&D本部健康技術研究所の阿野泰久さんの話です。
“ビールにはイソα酸というホップ由来の苦み成分が含まれています。研究では、このイソα酸にアルツハイマー病の原因の1つとされるアミロイドβなどの脳内の老廃物沈着の抑制効果や、脳内炎病の緩和効果があることが確認されました。その結果、認知機能の改善が期待できることも確認されています。”と言われています。なんと“良薬は口に苦し” ビールは良薬かもしれないのです。

認知症で悲しいこと、それは?ある奥様からの言葉です。「先生、私の主人は私を娘と思っているんです。」奥様を奥様と認識しない、これはすごく辛いことでしょうね。

The cause of Alzheimer disease is said to be accumulation of beta amyloid in the brain cells, which should deteriorate them. We have no silver bullet for treating it.

さて、忘れな草という花があります。“私を忘れないで”と“真実の愛”の象徴の花、中世ドイツの悲しい恋の伝説が由来です。

 

若い騎士ドルナは恋人ベルタのために、ドナウ川の岸辺に咲く美しい花を取りに行き、川に流されてしまいます。最後の力を振り絞って摘み取った花を岸に投げ、ベルタに私を忘れないでという言葉を残して亡くなってしまったのです。

 

これから超高齢化社会に向かう日本、“私を忘れないで”重い言葉です。忘れな草を求める人が多くなることでしょう。