7-8年前の8月 米国のネバダ州ラスベガスを旅行しました。

砂漠の中にある市街地は日中は45℃の酷暑、夜になっても気温が下がらない、こんな暑くて地球は大丈夫?と真剣に思いました。

ラスベガスといえばカジノの町、ホテルの中でカジノに興じていましたが、これがまた半端でないほどクーラーが効いて酷寒でした。クーラーは大量の電力を消費し、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスを排出します。温室効果ガスには、太陽から放出される熱を地球に閉じ込めて地表を暖める働きがあるそうです。屋内が熱いので冷やす、すると屋外が暖まる、まさに悪循環が起こっているのです。

最近、毎日のように地球上でおこる海抜が低い陸地の浸水や海没などを発生させる海面上昇、降水量の地域的な変化および大洪水、熱波による干ばつや山火事、そして北極圏で氷河、永久凍土、海氷の融解など、この世の終わりを感じさせる事象が次から次へと発生しています。

そして2021年8月に国際連合の気候変動に関する政府間パネルにて温暖化の原因が、人間の活動によるものと初めて断定されました。

だとすると、余計にカーボンニュートラル対策を急がなければなりません。人間の日常生活・経済活動で排出せざるを得なかった温室効果ガスの分について、同じ量を森林が吸収したり、人為的に除去したりすることで差し引きを実質的にゼロにすることを目指す対策です。

近年、熱帯雨林の伐採が進み、毎日日本の国土の数分の1に及ぶ面積が失われています。熱帯雨林は盛んに光合成を行い、大気からの二酸化炭素を大量に吸収しているため、これ以上破壊しては絶対にいけないのです。

最近TIME誌は気候がすべて“climate is everything”と題し、毎週のように気候変動の話題を載せています。カンボジア北西部に位置するユネスコの世界遺産であるアンコール遺跡の1つであり、その遺跡群を代表するアンコールワット(巨大な寺院)、私は10年前に訪れました。

9世紀の初頭に成立したクメール帝国はアンコール周辺に都城を建設して主都としていました。アンコールワットのその大伽藍と美しい彫刻は息をのむほどの壮大さでした。

でもそのクメール帝国は滅亡した。何十万もの住人が暮らしていた整備された都市でした。その原因は隣国との争い等があげられますが、もっと大きなものが・・・。何十年もの干ばつ、そして15世紀のモンスーンなのです。

Angkor was a sophisticated city with hundreds of thousands of residents – until its collapse. Since then, accounts have attributed the decline primarily to conflicts with a neighboring kingdom and shifting trade patterns. But recent research suggests that climate – specifically, a decades-long drought as well as monsoons in the 15th century – needs to be considered among the other challenges.
(TIME誌)

15世紀ですら自然災害で都市が消失するのです。ましてや今は何が起こっても不思議ではありません。

私が東京の小学校に通っていた頃、光化学スモッグで連日のように警報が出されました。目がちかちかする、咳が出る、息が苦しい等の症状に悩まされた人も多かった。そして東京の空は泣いていました。煤け汚されて。その頃に今の状況を気にする人は少なかったのです。