医学部学生5年の夏休み、私はデンマークのコペンハーゲンに旅行に来ていました。そこで見たものは?世界3大がっかり名所の1人魚姫の像でした。

クリスチャン・アンデルセンの童話「人魚姫」をモチーフにしたブロンズ像で、海上に寂しそうに浮かんでいるように見えました。ちなみに他のがっかりスポットは?いずれも私が訪れたことのある、シンガポールのマーライオンとベルギーのブリュッセルにある小便小僧です。

朝のラジオ番組にデンマーク在住の女性ジャーナリストがデンマークでのコロナをめぐる状況をお話しされていました。

デンマークのメッテ・フレデリクセン首相が規制撤廃を発表する記者会見を行ったのは126:この時点で1日の新規感染者数が過去最多の53000人超という水準だったため、驚かされた人も多かったでしょう。

新型コロナウイルスが社会的に重大な病気ではないという位置付けに変わり、マスクの着用や、レストランや映画館に入る際に必要だったコロナパス提示の義務付けといった規制が全て撤廃されたのです。

さて、我が国の新規感染者は110万人を超え、社会は機能不全に陥っています。そこで、今の2類からインフルエンザ並みの5類にせよという声が圧倒的に多くなっています。

でも、デンマークとの決定的な違いは?

まずデンマークでは、昨年12月にオミクロンを初めて検知して以来、3回目のブースター接種を加速させ、現在では65歳以上の94%3回目ワクチンの接種済みとなり、人口全体でも6割以上が3回目接種を終えているのです。

そしてデンマークは、大規模な検査態勢をしき、ゲノム解析にも優れています。このためオミクロンの中でも、従来主流だったBA.1BA.2といつ、どのような割合で入れ替わったのか、その実態がデータによって詳細に示されているのです。

そして専門家が図を示しながら説明したのが「デカップリング」という状況です。集中治療室に入る人の昨年との比較、同時期で比較した場合、昨年の数よりも今年の方が少なく、さらに減少に転じている。つまり、新規感染者の数は昨年の10倍以上であるにも関わらず、重症化する人は減少しており、この2つの数字には相関がなくなった(デカップリング)という説明です。

フレデリクセン首相は、新たな変異株が登場する可能性に触れ、この先1年の見通しを次の3つのフェーズに分けて示した。

フェーズ1  現在脆弱な層に4回目のワクチン開始

フェーズ2  春から秋の始まり イベントを通常通り行う

フェーズ3  秋から冬 場合によっては全ての人がワクチンの4回目を接種する

デンマーク政府はこれから先何が起きるのかの見通しを伝え、それに対して対策をとっていることを国民に示すのが上手いようです。

全ての医療費が無料のデンマーク、日本と違って安心して暮らせそうですね。

Social welfare program in Denmark is one of the most developed programs in the world,which makes its people feel secured and bliss.

アンデルセンの翻案した「裸の王様」という有名な童話があります。

ある国に新しい服が大好きな皇帝がいました。二人組の男が仕立て屋というふれこみでやってきた。皇帝に「手に負えないバカ者には見えない衣装を作ることができる」と言い、皇帝から注文を得る。そして新しい衣装が完成すると、皇帝はパレードに出る。誰にも見えていない衣装を身にまとい、大通りを行進するのです。集まった国民も「バカ者」と思われるのをはばかり、歓呼して衣装を誉めそやす。その中で沿道にいた一人の小さな子供がだけど、何にも着てないよ!

この話から裸の王様とは、高い地位にあって周囲からの批判や反対を受け入れないために、真実が見えなくなっている権力者の例えになっています。

ある国が我が国でないことを祈ります。