本日、朝のラジオ番組で大女優三島ゆり子さんが出演され、近日尼崎で公開される「曽根崎心中」について語られていました。

「曽根崎心中」は1703年(元禄16年)、近松門左衛門作の世話物浄瑠璃で、相愛の若い男女の心中の物語です。1703年5月22日、早朝に大坂堂島新地天満屋の女郎“はつ 21才”と内本町醤油商平野屋の手代である“徳兵衛 25才”が西成郡曾根崎村の森で情死した事件を題材にしており、この事件以降露天神社はお初天神とも呼ばれることが多くなったのです。

西国三十三所巡礼を終えたお初は、醤油屋の徳兵衛と最後の観音巡礼の地「生玉の社」で偶然の再会をする。二人は巡礼以前から恋し合う仲であった。その間に色々なことが徳兵衛にはおこる。実の叔父の家で丁稚奉公をしてきたが、誠実に働くことから信頼を得て、娘と結婚させて店を持たせようとの話が出てきた。徳兵衛はお初がいるからと固辞し続け、ついに叔父は怒り出し、勘当を言い渡した。徳兵衛の叔母に渡った結納金をめぐり、徳兵衛は詐欺師呼ばわりまでされ、死んで身の潔白を証明する以外ないと覚悟を決めるようになった。そして日も暮れてのち密かにお初のもとを訪れるのです。そしてその瞬間がやってきます。最後に及んで徳兵衛は愛するお初の命をわが手で奪うことに躊躇する。それをお初は「はやく、はやく」と励まして、遂に短刀でお初の命を奪い、終に返す刃で自らも命を絶ったのです。

かくして現世で、悲恋に満ちた最期を遂げた2人の死を、「未来成仏うたがひなき恋の手本となりにけり」と来世でのかたい契りとして結末となるのです。

曽根崎心中事件以降、来世で二人の愛が結ばれることを誓った心中事件が多発したといいます。まさに愛は盲目です。