新型コロナウイルスへの対策としては、定期的な検査に基づく感染者の同定と隔離、そして社会全体の活動細小の抑制の2つがあります。日本は両方の対策とも他の国と比べ緩やかでした。

PCR検査数は少なく、中国や韓国のようにスマートフォンのGPS機能を用いた感染者の監視を行うこともなく、さらにはロックダウンも行うこともなく。

しかし今のところ、感染者や死者数の数は欧米より少なくて済んでいます。山中伸弥教授によると、それが日本人のもつファクターXなのだというのです。名古屋大学の研究チームがそのファクターXの正体を解明しつつあります。そして京都府立医科大学は緑茶の成分カテキンがコロナウイルスの感染性を減弱させると。

名古屋大学のチームは脳内細菌に注目しています。ヒト腸内に生息するコリンセラ属という菌が新型コロナの感染と重症化を防ぐ可能性があることを発見したのです。研究グループは10カ国の953人の健常者の腸内細菌叢データを解析し、腸内細菌であるコリンセラ属の比率が低いほど、新型コロナの死亡率が高いことを突き止めたのです。

コリンセラ属は、肝臓で作られて腸内に放出される一次胆汁酸を二次胆汁酸に変換することが知られています。この二次胆汁酸は新型コロナウイルスが感染する際の受容体であるACE2への結合を防ぐとされているのです。

コリンセラは当然ながら善玉菌です。野菜類、豆類、果物類など食物繊維が多く含まれている食品を食べたり、ヨーグルト、乳酸菌飲料、納豆などの発酵食品、漬物など腸内細菌叢のバランスを改善するプロバイオティクスを積極的に摂ることが役立つのです。
まさに日本食ですよね。コリンセラ菌は栄養バランスに心がけていたら、普通に生息する。だから、ファクターXは特別なものではないのです。

Virus mortality puzzle may lie in intestinal bacteria
“In fact, most Japanese and other Asians have high levels of bifidobacteria and collinsella.”
The Japan Times