知の巨人と言われた立花隆さんが亡くなられました。生涯3万冊の本を読み、100冊の本を書いた方でその著書の1つ「知の旅は終わらない」(文春新書)の書評にはこう書かれています。立花隆は巨大な山だ。哲学・政治・脳・宇宙・生命科学・歴史・音楽…。むさぼり読んで書きに書いた。膨大な仕事とその人生を初めて語ったと。単純計算で毎日本を1冊読んで年に300冊とすると、3万冊読むには100年かかる。なんとも知の塊です。
さて、昨日言いました私の好きでないことは?“何もしないということ”そしてさらに、“1か所にじっとしていること”です。だから映画館で2時間以上の映画を観ることは無理、私が最後に映画を観たのは1964年公開された第2次世界大戦の降伏を決定した「日本のいちばん長い日」でした。本当に長かった!でも、全く経験したことがない空間には少しずつ興味を持ち始めました。それは?無重力の環境で大半はじっとしていなくてはならない。そう、宇宙船の中です。
立花隆さんの最初のベストセラーは「宇宙からの帰還」今回読ませて頂いて、人生観が少し変わっていくような感じがあります。立花さんは生い立ちで科学少年だったこと、湯川秀樹博士に憧れていたといいます。だから科学的な物への関心はずっと続いていた。あるきっかけから宇宙飛行士のその後には、色々な人生があって面白いということを知り、彼らへの取材を始めたのです。伝道師や詩人、画家になった宇宙飛行士等。立花さんの関心は宇宙体験という人類史上最も特異な経験をした、すなわち170万年間も慣れ親しんだ地球環境の外に出ること、それが体験者の意識構造にどれだけ深い内的衝撃を与えるかということでした。アポロ9号に乗ったラッセル・シュワイカート氏は“宇宙体験をすると前と同じ人間ではありえない”と。その内的インパクトは何人かの宇宙飛行士の人生を根本から変えてしまうほど大きなものでした。
アポロ14号に乗って月面に降り立ったエドガー・ミッチェル氏は“月探検の任務を無事に果たし、宇宙船は予定通り地球に向かい精神的余裕もできた。窓から遥か彼方の地球を見た。無数の星が暗黒の中で輝き、その中に我々の地球が浮かんでいた。1つの斑点のようにしか見えてなかったが、それは美しすぎる斑点だった。その瞬間、神秘的体験をした。詩的に言うと、神の顔にこの手で触れたという感じだった。宇宙の本質は物質ではなく、霊的知性なのだ。この本質が神なのだ。”と…。
だからこんな発言が出てくるのです。スカイラブ4号で宇宙に行ったエドワード・ギブソン氏は“宇宙体験の結果、無神論者になったという人間は1人もいないんだよ”私も、もし人生観が根本的に変わるのであれば、いつしか宇宙船に乗ってみたいなんて思うようになってきました。それも宇宙戦艦ではなくて…。
武蔵高校の先輩に佐々木功さんがいます。大学進学か歌手かと悩まれ、歌手の道を歩まれたそうです。歌手を目指していましたが芽が出ず、仕方なく医師になった私とは全く違いますね。