我が国が直面する、今すぐに対処すべき重大な問題は?
それは世界最速のスピードで急増している認知症患者です。先日、御家族と共に来院された70代前半の男性、レミニールという抗認知症薬を服用されていました。でも、その薬で悪心・嘔吐があり、服用を拒否。御家族は薬を飲まないと認知症が進むのではと心配されていました。私は飲むもよし、飲まないのもよしとしか答えようがありませんでした。
約20年前、アリセプトと共に発売された薬、“認知症の進行を抑える効果がある”というのがうたい文句でした。
でも、本当に効くの?在宅医療をさせて頂いている私、及び訪問看護師の方々が常に胸に抱いている疑問です。上記の薬は精神的な面を活性化させる作用がある。だから逆に興奮させて暴言暴行・徘徊等の副作用を伴うのです。案の定、患者さんは自分が認知症であるとは認めず、なんで神経内科なんかに連れていくんだと激怒したりで御家族が困っておられました。そして次に運転の問題です。本人はぼけていると思っていない、だから運転する。どうやって車を取り上げるかと悩んでおられました。75歳以上であれば、免許更新時認知症と診断されると運転免許が取り消され、又は停止されるのですが…。ともすれば、事故で第三者を巻き込むことになるので大問題です。大学病院や公立の大病院の医師は月に1回、わずか5分程度の診察でアリセプト等の投薬をします。その後の患者さんの日常を目の当たりにするのは、看護師さんあるいはヘルパーさん達です。“あれ、症状は悪化しているよね。”でもその言葉に意を介する医師は少ない。
もう一つ、認知症医療の問題は?例えば、高血圧で最も多く処方される薬、アムロジンというのがあります。その処方量の規定は1日1回2.5㎎~5㎎です。では、アリセプトの規定は?1日3㎎から開始、1~2週間後に5㎎に増量、高度には5㎎で4週間以上経過後10㎎に増量とあります。すごく細かく規定で決められています。すなわち、医師の裁量でさじ加減ができない。だから投与過量となっているケースが多々あるというのです。“医者は認知症を治せる”河野和彦著
その著書の中で河野先生は、薬は製薬会社のためにあるのか?大病院の医者ほど認知症を知らないと言われています。
さて今回の米国で承認された新薬、脳のアミロイドベータプラークを減らす一歩踏み込んだ薬です。
The use of the drug led to a consistent decrease in the amount of amyloid beta plaque. (Japan News)
この薬で霧のかなたに行ってしまった過去の多くの記憶を取り戻すことができるのでしょうか?