知らない街を歩いてみたい 知らない海をながめていたい どこか遠くへ行きたい
大往生の著書もある、永六輔さんの作詞の曲です。ジェリー藤尾さんが歌っていました。この歌をテーマソングとする同名の旅番組、子供心に知らない街に思いを馳せていました。今、コロナ禍でどこにも行けない、だからこの歌を口ずさむことが多くなりました。
私が今一番行きたいところ、それは間違いなくドイツなのです。私が米国留学をしていた時、夏季休暇で2週間の休みを頂きました。どう過ごそうか、そして私はレヴィツキ―先生に“ドイツの病院を見学したい”と申し出たところ、ドイツの古都ハイデルベルク大学病院に紹介状を書いて下さいました。ドイツ最古の大学ハイデルベルク、研修というよりは旅行感覚で訪問したのです。アメリカとは違う歴史の古い、ゆったりと流れる学問空間。日本の医学の原点を見るような感覚でした。今でも診療録はカードではなくカルテという、患者はペイシャントではなく、クランケという等まだドイツ医学は日本に深く根付いています。
ハイデルベルクの丘に立つと、ライン川の支流ネッカー川をのぞむ道があります。ゲーテをはじめ、多くの詩人及び哲学者が思索にふけった哲学の道です。心が洗われるようで、しばし時の経つのを忘れてたたずんでいました。
そしてロマンティッシェ街道です。ヴュルツブルクからフュッセンまでの約400kmの街道ルートです。点在する中世都市(ローテンブルク等)、美しい城(ノイシュヴァンシュタイン城)、宗教建築、工芸品をバスで巡っていく。そして、ドナウ川が現れると、ウインナーワルツ、美しき青きドナウ川が流れてくる、なんとも感動的でした。そして、父なる川といわれるライン川を舟で下る、ブドウ畑や古城が建ち並ぶ光景の中、ローレライの岩が現れる。岩山にたたずむ少女が船頭を魅惑し、舟が川の渦に飲み込まれてしまうという伝承、ローレライ伝説のある岩です。極めつけは、ハインリヒ・ハイネが詩をつけたローレライの歌が流れた時です。“ああ、ドイツにいるんだ”と目に涙が溢れてきました。

Ich weiß nicht, was soll es bedeuten,
Daß ich so traurig bin;
Ein Mährchen aus alten Zeiten,
Das kommt mir nicht aus dem Sinn.

私には分からない どうしてこんなに悲しいのか
遠い昔の物語が 心から離れない

Die Luft ist kühl und es dunkelt,
Und ruhig fließt der Rhein;
Der Gipfel des Berges funkelt
Im Adendsonnenschein.

風は冷たく 辺りは暗い
静かに流れるライン川
山の頂は夕日に輝く