昨今のAIの進化は凄まじい。
かつて、ターミネーター、マトリックス等の映画で描写されたAI対人類の戦いは、現実となるのでしょうか?AIに人類は支配させるのか?
少なくともまず起こること、それはある種の職種がAIに仕事を奪われるということです。例えば、資料整理・文字入力・機械操作等がまず標的になります。
そして、私たち医療は?様々な情感を含む対人関係、一人一人の多様の症状に応じて複雑な判断を要するため、今のところ安泰のようです。
最近はロボットが手術をするようになりました。もちろん医師が遠隔操作をしてロボットを自由自在に操るので、安全性は担保されているかもしれません。
でも、私が心臓外科を目指していた頃を思い出します。心臓の冠動脈を縫って繋げるために、マッチ棒程のラットの血管を用いて、昼夜トレーニングを続けていました。それゆえ、ロボットには任せられないというテクニックだけは身に着けておくべきだと思います。
Singularityという言葉があります。人工知能を含むコンピューターの能力が、人間の能力を超える技術的特異点のことです。その道の権威、レイカ―・ツワイル氏がその年は2045年に来ると予告しています。
アルファ碁は、囲碁の名人を打ち破りました。でも、人間の知性はAIと根本的に異なるところがあります。AIは一瞬で2億ページに及ぶ資料を読んで、分析力・理解力を得ていますが、読解力に関しては人間と同じ理解力では読めない。だから、圧倒的な読書量でそれをカバーしているのです。情報を処理する過程が全く違う。前述のレイカ―・ツワイル氏は雑誌のインタビューに答え、次のように語っています。
AIは人類にとって代わるというよりは、融合という形で人類と付き合うようになるだろう。道具を発明するたびに賢くなってきた人類は、もっともっと賢くなっていく。
We are going to make ourselves smarter.
AI is not going to compete with us and displace us.
(English Journal)
医療も免疫をつかさどるロボットT細胞、3Dプリンターで幹細胞を使って作られた臓器等画期的に進歩していきます。細胞をコピーする、細胞を初期化する(iPS細胞)ことも可能になりました。
しかし今の技術では絶対できないもの、それは?細胞を作ること、すなわち新しい命を作ることなのです。だから、まだ医療は自然に勝てないのです。自然治癒力を大切に、という理由もここにあります。