10年以上前に私が作詞をした歌があります。タイトルはいのちの響きです。心臓外科医の時代は、ああ、よかった、この方は生き返った、と医療が命に大いに貢献していると錯覚していました。でも在宅医療を始めさせて頂いてから思いが変わりました。皆様、なぜか暗い方が多い、何故なのか?薬手帳を見せていただいて驚きました。あまりにも多くの薬が処方されている、これでは命も響かなくなるのでは。私は人間も自然の一部だと思っています。だから医学という科学と相容れない部分があるのだと思うのです。例えば人工的に製造された薬など。
先日、わたしの母親が94歳で生涯の幕を閉じました。三人の男の子を育ててくれて、様々な苦労があったと思いますが、それをおくびにも出さず、響きのある人生でした。母親の死を目の当たりにして、さらに母の命がいっそう響いているのを感じるのです。死があるから命が輝く、いのちの響きの歌詞からです。ごらんあの海あの空を僕らのいのちを讃えているよ、もしかしてもしかして生きることと死ぬことは同じことなのかもしれない、ああ人生はかぎりあるものだから、今こそ輝け、今こそ響け!皆様、母に代わって感謝致します。生前のご愛顧をありがとうございました。