いのちがある限り、カラダ全体に血液を送り続ける大きな力、それがたった拳の大きさの心臓なのです。私たちの血液循環は、心臓から全身の動脈、毛細血管、静脈をめぐり、そして心臓に帰ってくる、その総距離はなんと地球の2周半あります。
さて、この度大阪関西万博でトピックになっているのがiPS細胞から作られた心筋シートです。無数の心筋細胞で成る、このシートを心臓表面に移植(はりつける)することで新しい血管を作り傷ついた組織を修復することを通じて、心臓全体の働きを助ける、重症心不全に対する新しい治療法を大阪大学の先生方が実用化に向けて頑張っておられます。
ここで改めて思い起こさせることがあります。心筋細胞の奇跡です。個々の細胞は一つ一つが自発的に拍動する力を持っています。それなのに何故かバラバラには動きません。心筋細胞は集まると最も強い電気信号を出す細胞のリズムに合わせて、まるでオーケストラのように協調して動く性質があるのです。逆にいうと一部の細胞が気を損ねると不整脈になる、だから期外収縮という脈の乱れが日常茶飯に見られるのも、さもありなんと思うのです。いずれにせよ細胞間の緻密な共鳴(レゾナンス)によって私たちは生きている、その奇跡に感謝して皆様、日々生きていきましょう。