OECD加盟38カ国中日本の平均賃金は22位、この数10年間上がっていない。他の先進国は上がっているのに。賃金が増えないので物を買わない、物が売れないから物価が上がらない。物価が上がらないから儲からない。いわゆるデフレスパイラルです。
そこで登場したのがいわゆるアベノミクスです。金融緩和で市場にお金を回す。人々は景気回復に期待して物を買う。そしてインフレに向かう。それがアベノミクスのねらいでした。
そして円安にする。企業(主として輸出関連)に利益が出る、それが従業員に回る(トリクルダウン)で好循環になるはずでした。ところが逆に貧富の差が大きくなり、そしてそれに輪をかけてコロナ禍、ウクライナ戦争が襲い、もうにっちもさっちもいかなくなったというのが今の日本の現状なのです。アベノミクスは完全に失敗だったのでしょうか?
そして今、円の急落が進行しています。アメリカではコロナのデルタ株の影響で物流が滞り、それでも物の需要はあるので物価が上がり、インフレが進んでいます。そこでインフレを抑制すべく、アメリカは金利の引き上げをスタートさせます。アメリカとの金利差拡大が意識され、円を売ってドルを買う動きが強まっているのです。
さらに原油高騰によって日本の貿易赤字の拡大が懸念されて、円が売られています。これまで円は安全資産とされ、戦争などの危機が勃発すると買われていたが、逆に売られている。今、世界ではスイスフランが安全資産として評価されているといいます。さすが永世中立国所以でしょうか?
今まで円が安全資産とみなされてきた理由は、日本が多額“経常黒字”を稼ぎ、世界最大の“対外純資産国”だったからです。でも2022年1月には史上2番目の経常赤字が記録されてしまったのです。
日本はもう稼ぐ力がない。アメリカのようにGAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)のような成長産業もない。国力も日本円のステータスも急落しているのです。
2019年投資の神様の異名で知られるジム・ロジャーズ氏が来日、自著「日本への警告」についてスピーチされました。そこで日本についての深刻な問題を語られています。
“毎日負債がかさんでいく、これは足し算です。そして引き算もある。毎日日本の人口は減少していますから。あなた方の日本銀行は毎日膨大な紙幣を印刷して、日本国債の株を購入しています。”
Every day, the debt goes higher there’s addition. And there’s subtraction, because every day, the population declines in Japan. The cost of doing business goes higher. You have a central bank which is printing staggering amounts money every day and buys Japanese of shares in Japanese bonds.
(CNN English Express)
そして“私が10才ならば日本を出て行くことを検討する”とも言われていました。
私が30年以上前、シカゴに留学していた頃、当時アメリカで最も高かったシアーズ・タワー(現ウィリス・タワー)の展望室にのぼりました。広大な穀倉地帯、遙か彼方に地平線、そこに沈む夕陽、地平線に沈む夕陽を初めて見て、感動したのを思い出します。
「大空と大地の中で」松山千春さんの歌です。
この歌はメッセージとして大自然の中で私たちには無限の可能性があるのだということを送ってくれているような気がします。でも無限の可能性を作ってくれるのも政治の役割だと思うのです。