先の成人の日、私は本屋の養老孟司先生の「バカの壁」をはじめとする壁シリーズのコーナーで“660万部達成”というコーナーで「自分の壁」という本を手に取って読んでいました。

すると背後から年配の女性に声をかけられました。“今日、孫の男の子が成人式を迎えました。でも、スマホばっかりして全然本を読まない。この先本当に大丈夫なのかと思っています。だから本をプレゼントしようかと思っています。何かいい本ありませんかね?”女性は本当にお孫さんを心配されているのです。

少しスマホの話をさせて下さい。

脳には“ご褒美”をくれるシステムがあります。細胞と細胞の間でシグナルを送るための化学物質が何種類かあり、その1つが“ドーパミン”です。好きなことをすると、例えば美味しい物を食べたり、友達と会ったりするとドーパミンの量が増えて幸せな気分になり、満足を感じます。つまり、自分にとって良いことをすると脳がドーパミンというご褒美をくれるのです。だからSNS等で“いいね”があったりするとドーパミンが分泌され、これがずっと続くとドーパミンが枯渇して何も残らない。だから元気がなくなる、鬱にまでなりうるのです。

アメリカ合衆国の教育学者、クラーク博士が札幌農学校(現在の北海道大学)の教頭を辞して、1877年日本を去るにあたって学生たちに送った有名な言葉があります。

「少年よ 大志を抱け “Boys, be ambitious”」

その現代版を歌にした曲があります。河島英五さんの「野風増(のふうぞ)」という歌です。野風増というのは、中国地方などでのやんちゃ、生意気などという意味の方言です。お前が20才になったらという歌い出しで始まります。

Boys should be appropriately naughty and have a big dream.

前述の女性には教育大国のスウェーデンのアンデシュ・ハンセン氏の著書「スマホ脳」「最強脳」を勧めさせて頂きました。

“孫はちっとも言うことを聞かないんです。読んでくれるかしら。私は養老先生の「ヒトの壁」を買って読みます。世代の壁ですね”