私が心ひそかに心配していること、それは物忘れです。
人の名前が出てこない。処方時、薬の名前が思い出せない。そして毎晩欠かさず飲酒をする。気がついたらもう夜明け、だからいつどうやって床についたのか全く記憶がないのです。

それがここ数年間続いている。もしや認知症の始まり?なんて思ったりします。でもTIME誌に勇気づけられる記事がありました。忘れる(Forgetting)に関してです。
まず、あなたの3年生の時の担任の先生を覚えていますか?心配しなくてもいいですよ。それはただ能がごみを整理しているだけだから。から始まります。

CAN’T RECALL THE NAME OF YOUR THIRD-GRADE TEACHER?
DON’T WORRY-IT’S JUST YOUR BRAIN CLEARING THE DEBRIS
(TIME誌)

南カリフォルニア大学の研究チームはゼブラフィッシュの幼魚を使って脳と記憶の研究を行っています。脳が透けて観察できるので研究に適しているようです。新しい記憶が生まれる(脳細胞間で新しいコネクションができる)、それとほぼ同時に古いコネクションが消えていく(すなわち忘れる)のです。
写真で黄色のドットが新しい記憶、青色が失われた記憶です。

 

 

TIME誌は続けます。
私達は毎日多くの溢れるほどの情報を受け取る。だから脳はそれに対して反撃しているのだと。

We are inundated with so much information on a daily basis that the brain fights back.
(TIME誌)

 

だから忘れるということは、記憶のシステムの故障ではなく、脳が不必要な情報を積極的に排除していることになるというのです。(Active forgetting)
ああ、そうか。寝る前のことを全て忘れているということは、次の日また新しい必要な情報をインプットしなさいということなんだ。なんて自分に都合の良いように解釈したりしています。

そしてさらに不必要な情報を淘汰することが睡眠の重要な目的だとも。なるほど、だから朝の目覚めがいいのだ、なんて変な納得をしています。

そして一過性の忘れというものもあるそうです。それに関与している物質がドーパミンです。だからその時の気分により忘れたり、思い出したり。そういう意味では脳は薬の名前なんかそんなに重要か?と思っているのかもしれません。

さて、今までの話は健康な脳における忘れです。今後はこの研究が度を超えた“忘れ”すなわちアルツハイマー型認知症にとっても有益となると研究者はみています。
最後に、忘れるということは人間関係を次に進めていく上においても重要なようです。米国の歌手ペギー・マーチさんが三木たかしさん作曲の「忘れないわ」を日本語で歌い好評を得ました。愛したひとよ わすれないわ、これが幸せかどうか人それぞれでしょうね。