当医院にも時々来院される喘息患者さんの中には、酸素飽和度が90%以下で呼吸困難となっておられる方がいます。応急措置としてどうするか?

多量のステロイドを静注するのです。著効を奏し、楽になって頂ける方も多い。でもそれで完治はしないので、翌日、翌々日と来院される。同じようにステロイドの静注を続けることにより、楽になったと言われる。そこで初めて私は“ああ、よかった”とほっと安堵するのです。

ステロイドは抗炎症作用が強力で、喘息発作に効果があります。でも上記のように3日間限定で使用する、それ以上続けると強い副作用が出るからなのです。一時的に多量のステロイドを使う方法をパルス療法といいます。

さて、日本経済がバブル崩壊したのが、1991年3月から1993年10月にかけてでした。その後、日本経済は30年間低迷しています。物価は低いまま(デフレーション)賃金は上がらず、欧米諸国は日本のバブル経済からの転落は不思議な難題(conundrum)とみなしています。現に1987年から2006年まで米国準備制度理事会(FRB)議長を務めたアラン・グリーンスパン氏は日本のバブル経済のミステリーから教訓を得ようとしていました。

Greenspan was trying to draw lessons from the mysteries of the Japanese bubble economy.
(The Japan News)

そして過熱気味であったマーケットに対し、1996年12月5日の講演で、バブル経済への警告として、非理性的なうかれを戒めていました。(Irrational exuberance)

Price stability a long-unsolved conundrum for Japan
“Irrational exuberance” is a phrase widely used to warn about the risks of a bubble-like stock market.
(The Japan News)

さて、一向に上向かない経済に対して、アベノミクスが登場したのが2013年、それに呼応するように出たのが黒田バズーカでした。国債をじゃんじゃん買って市場をマネー漬けにする、これにより景気回復への期待感から消費が伸びる、物価が上がる、企業の増収、賃上げ、と経済の好循環を期待してのものでした。

でも黒田バズーカはやはりパルス療法にとどめるべきものでした。今や予期できないほどの急速な円安による超物価高、それでも欧米のように利率を上げることができない、もはやバズーカは緩和ケアのモルヒネのようになってしまっているのです。
先日の黒田日銀総裁のコメントです。“家計の値上げ許容度が高まっている”この方がこの地位におられる限り、私達に安楽は訪れないかもしれません。
さてアップルショック、7月1日iPhoneやiPadなど主力な商品を即日値上げ、最大4万円もアップした円安が原因のようです。

あまり盛り上がってもいないような参議院選挙、でもみなさん投票しましょう。それとも勝手にしやがれで済ませてしまうのでしょうか。