昨日申し上げたビタミンDとうつの関係。でも、充分な太陽光を浴びてもうつになる方がいる。それは世界テニス界のスーパースター大坂なおみ選手です。
全仏オープンを前に、大坂選手は試合後の記者会見を拒否すると発表。そしてその後、メディアからの激しいバッシングにあい、ついに全仏オープンの参加を辞退されたのです。そしてこんな告白も。“自分は長い間、うつ状態であった”と。そのニュースを聞いて、大坂選手を強烈に擁護したのが、オリンピック競泳で23個の金メダルを取った水の怪物という異名をとる米国の元競泳選手マイケルフェルプス氏です。フェルプス氏は言います。「大坂選手が今まで見せなかった自分の弱さを公にした。これは、非常にパワフルなメッセージだ。世界ナンバーワンであろうが、なかろうが、うつ状態は誰にでも起こりうること。今回の心を開いてのメッセージがアスリートの精神衛生面での変換点になるだろう。そしてもっと多くの人の命を救うであろう。」と。
フェルプス氏自身うつ病に苦しみ、米国シカゴで開かれたメンタルヘルスの会で「自ら命を絶たなかったことに感謝している。」と語られました。その会議でさらに語ったこと、「ひたすらハングリーに上を目指していた自分の限界を極めたかった。」そして突進のあとに反動が…。「五輪が終わる度に気力が大きく落ち込んだ。」フェルプス氏は、その後も多くのトップアスリートと精神的苦痛を共有し、現在も選手のメンタルヘルス改善に取り組んでおられます。誰もが羨むキャリアの持ち主がなんでそんなにストレスを感じるの、これは私たち凡人にとっても大きなメッセージです。
大坂選手には、テニス以外にも戦いが…。昨年の全仏オープンでは、最近殺害された7人の黒人の名誉のためにマスクをつけてプレーされました。
フェルプス氏の言葉です。「今まで自分がしがみついてきたこと(水泳)をしたくないと思うようにすること、それは葛藤です。でも心をオープンにし、それを語り始めた時、開放された感じです。100%他の人の命を救えると思います。」

When I opened up and really started talking about it, I felt freer. (Time誌)

大坂なおみ選手に友のようにエールを送るフェルプス氏、私には岡林信康さんの作詞作曲の歌“友よ”のイメージがダブります。1969年にリリースされたこの歌は、学生運動が盛んだった時期によく歌われるようになり、反体制の象徴のようになっていました。でも、それとは関係なく、輝く明日があるようにもう一度歌詞を見つめてみましょう。